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SCの売上管理の問題点 [SCの運営管理]

【誤った売上管理の意味】

ショッピングセンターの売上管理については、家賃形態に売上歩合があればテナントの売上収集をし、固定家賃があれば全く売上管理は行わないという商業施設がある。

単純に、テナントの売上管理は歩合家賃があるから行なうという発想である。

特にガッカリさせられることは、新規のSC開発において売上管理をするのは手間でコストがかかるから出店契約は全て固定家賃でという発想である。

おそらく、SCの開発は収支だけでものごとを考えているのであろう。

これは、全く本末転倒の話である。
収支を気にするのであればこそ、SCの売上状況を把握することがマーケティング戦略であり収支を改善する基本となるのである。
また、一日に数千の売上データを処理するわけでもないので手間がかかるほどではない。


【本来の売上管理の意味】

1.ショッピングセンターを構成するテナントは互いに補完して、ショツピングセンターの魅力を作っていくものである。
2.ショツピングセンターの全体の売上は、いわば船の羅針盤と同じと考えて運営管理の舵取りを行なうものである。
3.出店しているテナントはいかに売上を確保してあげていくかがもっとも重要なことであり、出店しているSCの集客戦略や他SCとの差別化戦略でテナントの経営状態にまで大きく影響していると言っても過言ではないのである。
4.SCを所有している会社、また管理する会社は大きな責任を自覚する必要がある。

それでは、売上管理はどうするかということであるが
これも、実際に行なっているSCをみると様々な対応が見受けられる。

【過剰な売上チェック】

もっとも多く見受けられるのは、売上監視型の管理である。
それは、精算ジャーナルを添付した売上報告書に、レジのドロア(現金などが入っている)の内容を全て記入させているパターンである。

例えば、総売上、控除売上(消費税、箱タ代、内金などなど)、純売上(家賃対象売上)、
現金、掛け売上、クレジット、金券 現金の調整内容(つり銭違い、誤打、一時支払いなど)、現金の金種、金券の金種までをことこまかに、テナントに記入させて、それを大変な時間と人手をかけて再チェックしていることである。
まるで、自社の売上金管理の様である。自社の売上であれば経理勘定に現金在高や掛売り勘定などに記載して財務管理につながるので、当然のことである。

何故このようなやり方をしているのかお話しを訊ねると

次の二つの売上チェックを行っている。
1.テナントの現金在高を管理してあげるのは、“テナントサービスの一環”であるという答えが返ってくるか、テナントが売上報告を過少に報告することをけん制するためということである。

2.提出されたクレジット・金券を正しくレジ登録を行っているかをレジ精算ジャーナルと報告書の照合を行い、もしレジ登録とクレジットがあわない場合にはテナントにレジ登録が誤っているのか、クレジット入力が誤っているかまで確認して訂正をさせるため。


テナントにすれば大きなお世話である。
デベロッパーが1円まであわせてくれるから、現場のレジ担当と本社の経理はそのまま事務処理するかというと、そんなことはないのである。
また、テナントの売上報告の過少報告という問題であれば、レジ精算ジャーナルそのものを疑わなければならない、それを解決するためであれば、キャッシャーを派遣する以外に手はないのである。

どちらにしても、大変にナンセンスなことであり、テナントのレジ精算そのものを疑えば歩合家賃制度は存在できないのである。

大事なことは、テナントの売上状況を短期ではなく長期的に見ていくことである。

SCオーナーの必要なことは、テナントの家賃対象売上が間違いなく報告されているかが必要なことであって、テナントのレジのドロアの中までの内容までは必要はないのである。

リスクと責任について

デベロッパーがレジ登録と現金・クレジット・金券・掛け売上の照合モレがあった場合には、その責任はデベロッパーにあるのだろうか。
デベロッパーは、レジ精算ジャーナルの家賃対象売上と提出されたクレジット伝票の受け渡しについて責任はあるが、クレジットと現金などのいりくり違い、クレジットの金額違いまでは責任の取りようがない。
責任のない照合作業をおこなっていることはコストの無駄であり、リスクも大きい。

レジ登録とドロア内の現金・クレジットが一致しないことは、テナント企業ないの問題であって、デベロッパーの問題ではないのである。


照合作業コストについて

この照合作業のコストは、ビジネス的に例えれば
1円の売上をえるために、100円のコストをかけていることと同じといえる。


ただし、委託販売、消化仕入れ契約の店舗の場合は、当然に売上総額、ドロア内の現金、掛売り、金券は、当座勘定の中に含まれるので1円たりともあわせることが必要である。


賃貸しているテナントは、委託販売でもなければ消化仕入れでもなく、単に出店契約で売上に対する歩合家賃の契約が中心であることを付け加えたい。


【売上管理のあり方】

1.出店契約書、売上管理規定に記載されている純売上が正しく報告されているかのチェック業務は精算ジャーナルとの照合チェックだけで充分である。
2.SC全体・テナントの売上動向を中長期的に把握して、テナント指導や不振テナントの早期発見を行なうことが大切である。
3.販売促進、テナントミックス計画を行なうにあたって、売上動向情報は重要なファクターである。

このような意味で、たとえSCを構成するテナントの家賃形態が全店固定家賃であったとしても、SCの売上によって戦略を作っていくことが必要であるから、正しい売上管理をおこなっていくことが大切である。

次回は売上分析システムについてご紹介したい。


http://www.sccube.co.jp/
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